遺伝子操作(ゲノム編集)による養殖分野の活用!真鯛やトラフグなど

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みなさん、こんにちは

ミライダネ!で遺伝子技術のゲノム編集が取り上げられ、がんの治療利用の他、魚の養殖分野への活用も紹介されます。

これまで報道された、ゲノム編集による養殖の事例の紹介とゲノム育種を進めている研究グループについて調査しました。

日本経済新聞の記事(2016年3月)などを引用しています。

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ゲノム編集

ゲノム編集は、遺伝子に書かれた情報の中から、狙った部分をピンポイントで書き換えできる技術。

細胞内で機能する特殊なたんぱく質で、遺伝子を読み取り、目的の場所を探し出して切断する。

1996年に第1世代の「ZFN(ジンクフィンガーヌクレアーゼ)」が開発され、その後、第2世代の「TALEN(ターレン)」も登場した。

特に2012年に開発された第3世代の「クリスパー/キャス」はRNAを利用、目的の遺伝子が複数箇所に分かれている場合でも一度に操作でき、効率が飛躍的に向上したため注目を集めている。

ゲノム編集の利用「育ちが早いサバ」

九州北部ではサバを生の刺し身で食べる習慣があるが、サバは腐敗が進みやすく、寄生虫(アニサキス)の心配もある。

唐津市水産業活性化支援センターは、唐津市が九州大学と共同で研究を進めるために作られたもので、ここでは卵からの完全養殖に成功し、2014年から寄生虫の心配がほとんどない安全なサバを提供している。

日本経済新聞(2016年3月)によると、

ゲノム編集を活用してサバをより短い期間で育てられるようになれば、より多くの人たちに新鮮なサバの刺し身を楽しんでもらえるようになる。

ゲノム編集で生殖腺の発達に関連する遺伝子を無効にし、卵子や精子をつくらなくなり、その代わりに体の成長が早くなることを見込んで取り組んでいる。

サバの受精卵1個1個に、ゲノム編集を加えるためのたんぱく質を注射する。すべての細胞に変更を加えるには、細胞分裂が始まる前の受精卵にゲノム編集のたんぱく質を注入しなければならない。しかし、産卵から50分ほど経過すると細胞分裂が始まるのでスピード勝負!

使用しているゲノム編集の技術は、広島大学が開発した「Platinum TALEN」を使用している。TALENは遺伝子の中で改変する位置を認識する精度が高く、実験の成功率が高まるという。

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画像元:日本経済新聞「ゲノム編集実験のために卵を産ませているサバの親魚。写真は九州大学付属水産実験所(福岡県福津市)の提供」

ゲノム編集でおとなしいマグロの養殖

日本経済新聞(2016年3月)によると、

マグロの養殖で大きな課題となっているのは、マグロの臆病すぎる性格。

海のいけすの場合、雷や車のヘッドライトの光に驚き、急いで逃げようとして、時速60kmの速度で養殖場の網や壁にぶつかって死んでしまう。

そこで、研究所で産ませたマグロの卵に、ゲノム編集で遺伝子に臆病な性格を抑制する変更を加えれば、原理的におとなしいマグロとなります。

研究は近畿大学、広島大学、愛媛大学などと進めており、内閣府が主導する「戦略的イノベーション創造プログラム(SIP)」にも採択された。

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画像元:日本経済新聞「西海区水産研究所のまぐろ飼育研究施設にある直径20メートル、深さ6メートルの円形水槽で泳ぐクロマグロの3歳魚

ゲノム編集で2倍速で育つトラフグ

NHK科学文化部のブログ(2016年9月)より引用

京都大学の木下政人助教と、水産研究・教育機構のグループは、ゲノム編集を使って、トラフグの受精卵に含まれる遺伝子を操作し以下の結果を確認されました。

●筋肉の成長を抑えている「ミオスタチン」という遺伝子を働かなくしたところ、ふぐの身の部分が、通常の1.4倍ほどある肉付きのよいトラフグを作り出すことができた。

●ふぐの食欲を抑えている遺伝子を働かなくしたところ、エサを食べる量が増え、骨の成長や体重が増えるスピードがあがって通常の2倍のスピードで成長するようになった。

その結果より、出荷までに2年かかるところを1年にすることで生産コストの削減が可能! 肉づきのいいトラフグや出荷までの時間短縮で量産により低価格になる。

日本経済新聞(2016年3月)によると、

京都大学農学研究科の木下政人助教は、タイやフグの肉付きをよくするための研究を進めている。

近畿大学水産研究所と共同で進めるタイの実験では、筋肉を増やすためミオスタチンをつくる遺伝子を無効にすると、体重は通常の1.2~1.5倍に増えることが確認できた。

「近畿大学のタイはもともと肉付きがいいので差分は1.2~1.5倍にとどまったが、野生のタイであれば2倍にできる可能性は高い」(木下助教)

ゲノム編集の2つの使い方

「ゲノム編集の使い方は主に2つある。

1つは遺伝子組み換えと同じように外部から別の遺伝子を組み込むというもの。

もう一つは、DNAの中で特定の遺伝子に切れ目を入れて、一部の機能を無効にするというものだ。このうち食品に利用できると考えられているのは、遺伝子の一部の機能だけを無効にする技術。」

 「農作物に使われている遺伝子組み換え技術は、農薬に強い遺伝子を外部から組み込むなど、遺伝子を新たに加える。また狙った場所に遺伝子を組み込む精度が低く、他の場所の遺伝子も変えてしまう危険があった。」

 「しかし現在、ゲノム編集を使った魚や農産物の品種改良で考えられているのは、遺伝子組み換えとは逆に、すでに魚や植物が持っている遺伝子の機能の一部を、働かなくすることで改良する方法だ。

この方法であれば「植物で広く使われている突然変異を起こして品種改良をした食品と同じと見なせるのではないか」という期待が研究者の間で広がっている。」

(日本経済新聞(2016年3月)より引用)

ゲノム編集の取組み

ゲノム編集を加えた食品のガイドラインは世界中にはない中、各国の研究者はゲノム編集に取り組んでいる。

問題は特許に関する費用、TALENやクリスパー/キャスといったゲノム編集の技術は、海外の研究所などが特許を持っている。

日本国内で、魚にこれらのゲノム編集を加え、成果物とした場合には、莫大な特許料が必要になるとみられている。

国内でゲノム編集による品種改良を活性化するためには「日本発のゲノム編集技術を確立することが必要」(九州大学 松山教授)という声がある。

「九州大学はPPRと呼ばれるクリスパー/キャスなどを代替する独自のゲノム編集用の技術を開発し、実用化に向けて研究を進めている。これら国内発の技術が確立できれば、日本の豊かな食生活を守るだけでなく、魚の養殖など農水産業で世界をリードできるはずだ。」

(日本経済新聞(2016年3月)より引用)

まとめ

「ゲノム編集」、「養殖」などのキーワードで検索すると、『国立研究開発法人 水産研究・教育機構 増養殖研究所』や『木下グループ Kinoshita Group』などの研究機関の取組や研究内容などが確認できます。

それぞれは、

例えば、国立研究開発法人 水産研究・教育機構 増養殖研究所では、ゲノム育種グループではヒラメやブリの感染症を防ぐ育種研究の他、興味が惹かれたのは、外来魚の駆逐・根絶技術に取り組んでいることです。

今流行りになっている、テレビ東京の「池の水を全部抜く」という企画で外来魚駆除をしていますが、どうしても取り残しが発生したり、ブラックバスのルアー釣り愛好家による放流などがあるかと思いますが、

この研究所では、不妊化遺伝子をもつオスのブルーギルを放流し、そのオスと交尾したメスからは産卵しないメスが生まれ、産卵数を減らしていき、根絶するシミュレーションが描かれて開発に取り組んでいます。

木下グループ Kinoshita Groupは京都大学農学研究科の海洋生物生産学講座にあります。

ここでは、基礎研究から創薬事業や養殖業などへの応用研究まで幅広い研究をされています。

先にも報告済みの「ゲノム編集技術を用いたマダイやトラフグなどのスピード育種」の他、ゲノム編集の基礎研究からヒト疾患を目的とした研究に取り組んでいます。

また本文中でも出てきました、九州大学農学研究院の松山倫也教授、大賀浩史助教授らもゲノム編集技術を用いた水産に置ける育種基盤技術の開発に取り組んでおられます。

他国に負けないように頑張って頂き、日本国民の食生活を維持していけるようにお願いしたいですね。

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